今はアタシらのセンソは入ってないざんすよ

No.23


蛙のある風景


−茨城県−
筑波がま園周辺・竜ヶ崎



がま園への道中、ふもとにはまんじゅう屋、
山道にはいくつかの蛙が道祖のように立つ。



土曜日というのにひっそりとしている。 入り口を通ると左に口上の大きな看板。


ポツリポツリと現れる蛙達。

生きているのも。(園内には怪しげな研究室らしい建物が1つ2つあって、
ガマのホルマリン漬けや解剖してあるものもある。人の気配はどこにもない。
蛙好きでなければかなりスリリングで不可思議なところだ)



がまの油売り口上(筑波山観光がま園看板バージョン)

さあさあお立合い 御用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで
遠出山越えかさのうち 聞かざる時は物の黒白出方善悪がとんと分からない
山寺の鐘がゴーンと鳴ると雖も、童子きたりて撞木をあてざれば鐘がなるのか
撞木がなるのかトンとその音色がわからない
さあてお立合い、手前ここに取りいだしたるは・・・軍中膏は四六の蟇だ。
四六五六はどこで見分ける
前足の指が四本後足の指が六本名付けて蟇蝉噪は四六の蟇だ。
このがまのとれるのは五月、八月、十月なるをもって、五八十は四六の蟇。
このがまのすむところ御当地は筑波山のふもと、
臼井・神郡・館・六所・東山から西山にかけて生えているオンバコーと言う
露草薬草を喰って育ちまする。
さあてこの蟇から油をとるには山中深く分け入って捕えましたる蟇を
金網鉄板をしき、四角四面の鏡ばりの箱の中に追い込む。
さあがんま先生、鏡に映る己のみにくい姿にびっくり仰天、
ひたいよりタラーリ、タラーリと流す油汗を三七は二十と一日の間、
柳の小枝をもってトローリ、トロリと煮炊きしめ、
赤い辰砂に椰子油、テレメンテーナ、マンテーナかかる油汗を練り合わせ、
まぜ合わせてこしらえたのが、これこの軍中膏はがまの油だ。
さあてお立合い。この蟇の油の効能は、疾、癌かさ、瘍、梅毒、やけど、ひび、
あかぎれ、しもやけの妙薬、
前へ廻ってインキンタムシ、後へ廻って出痔、いぼ痔、脱肛、その他すり傷、
切り傷一切 まだある、もう一つ大事なものが残っている。
これより刃物の切味を止めて御覧にいれよう
当家に伝わる家宝、正宗が暇にあかして鍛えた天下の名刀、エイーッ。
抜けば玉散る氷の刃、刃こぼれ、錆一つない。
一枚の紙が二枚と切れる、二枚は四枚八枚、十と六枚、三十二枚は六十四枚、
六十四枚は一束と二十八枚かように細かく切れた。
春は三月筑波山落花の吹雪とござーい。
これほど切れる天下の名刀でも手前のこの油一ぬりつける時には、
刃物の切れ味ピタリッと止まる。これこの通りだ。
叩いて切れない、押して切れない引いても切れない・・・
だがお立合いこの油、ぐっとふきとる時には刃物の切れ味、
元にもどって さわっただけでも赤い血が・・・出るよ。
だがこれ位で驚くことはない。
この蟇の油をグット一ぬりつける時には、
たばこ一服、吸うか吸はぬ間にピタリッと止まる。これこの通りだ。
どうだお立合い、これで蟇の油の効能はおわかりかな。
普段は二百文だが今日ははるばる出ばってのおひろめ特に破格の値段だ・・・
男は度胸、女は愛嬌、山で鳴くのはホーホケキョウ、
筑波山のてっぺんからまっ逆さまにとびおりた思い半額の百文ではどうだ。
半額の百文だよ、さあーわかったら かったり・・・かったり・・・・・

この他にも口上のパターンはいろいろある。調べてみるのもおもしろいだろう。
六代目円生師匠のこれは絶品、皆さんも1度聞いてみては如何か。






   

筑波山の電話ボックス。案内所にはがままつりの神輿が置かれる。





筑波より南に離れ竜ヶ崎の警察署前


竜ヶ崎では7月27日に
(八坂神社祇園祭7月25〜27日の最終日)
関東三奇祭の1つ「撞舞(つくまい)」が行われる。
雨乞い・豊作・魔よけを願い、
九間の撞柱に蛙の面をつけた舞人が昇り、
矢を放ち軽業・綱渡りなどを披露。
カエル男登場の直前、
フィルムが無くなり棒だけが空しく天を指す・・・



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