そこはいつもヌマガエルがわんさかいる田圃であった。
水がなみなみ張ってあるその田圃に、
点々とカエルの卵塊をみつけた私は、
何の疑いもなくヌマガエルが産み落としたものと、
1つの卵塊から10個を拾ってプラケースに入れ、
カエルになるまで家で過ごしてもらうことにした。
孵化後5日0.8cm(2002.5.17) 腹が透けている | 孵化後7日2.0cm(2002.5.19) 口の下に苔などを削り取って食べられるよう 三層のヒダが付いている |
チョイ技 | 食いの悪いオタマでも細かくしたテトラミンをスポイドで口へゆっくり落とすと、 身体が反応してつられて食ってしまう。なんて外発反応性の高い奴らだろう。 |
暫くすると、ブリキの太鼓状態のオタマも出てきた。(左側のオタマ) 他のオタマがどんどん育って軒並み6cmを超える中、 全長3cm、体積だったらもう何十分の1くらいのぜんぜん大きくならない1匹。 何か欠落しているのか大器晩成なのかそれともミニチュアガエルになってしまうのか、 食欲もなく寝たきり状態で口に運んでもらう餌だけを面倒くさそうにひとくちふたくち(2002.6.9) |
最初の10個の卵から、5匹の健常体、後の5匹には3匹の奇形、1匹の成長障害、1匹の変態障害、1匹の重度癲癇症状、2匹の軽度癲癇症状があり、
その中で、上陸時肺呼吸に上手く移行することができなかった子と、接触が引き金になる重度癲癇症状の子と、ブリキの太鼓状態のオタマは落ちてしまった。
結局、3匹落ち、6匹リリース、1匹飼育、となったが、
その飼育することにした子は、両眼の瞳がない為の盲目・脊椎の湾曲・片耳(鼓膜)がない・接触による癲癇症状がある、という大変重度な障害を持っていた。
全く見えないので自分では食餌できない。
片耳はあるものの聞こえていないようで、小さな気配を察知することもできない。
また、生餌が急に接触すると驚いて癲癇症状のひきつけを起こすといった具合。
冷凍アカムシの強制給餌をすることにしたが、これも最初はひきつけを起こさせてしまった。
(ちなみにひきつけを起こした場合は、身体が痙攣して伸び硬直し呼吸が止まるので、 すぐに掌に乗せ脚を正位置に戻し少し水を垂らしながら軽く全体をマッサージするようにさすり静かに息を吹きかける)
その三重苦のカエルは三太郎と名付けられ、私と暮らすことになった。